2007.03.27 Tuesday
7人のマッハ(映画)
★★★★★(3/31まで)
こりゃーすごい! なんじゃこりゃー! いや、これは国威発揚映画としても使えますよ。タイ人すげー、タイ人かっこえー、でもこいつらと絶対戦争したくないって思いましたもん。 前作「マッハ」が、「盗まれた村の仏像を取り返しにいく」というスケールの小さい話であったのに比べ、今回は麻薬王との戦いや、軍事制圧された村の反撃、そして核ミサイルの阻止など、スケールの大きな話になっています。前作で評判を得て、今作でより多くの資金を調達できたのでしょうが、カネの使い方がまったく正しい! 正統新化といった続編です! 最初の火だるまトラックが民家に突撃するシーンから「金かけてんなあ」と思ったけど、まあアクション映画は序盤にインパクトを集中するから、こんなもんかなと思ったんですよ。でも、その後の武装麻薬組織が農村を襲撃するシーンから、その先ずっと緊張感を持続しっぱなし。90分強の映画なのに、そのうち80分間、視聴者に緊張を持続させ続ける力のある映画です。 もうなんかたまらない気持ちにさせられたのが、アサルトライフルをつきつけられた村民たちが、国家を歌いながら決死の反撃に転じるシーン。タイトルは「7人のマッハ」だけど、別にたった7人の英雄が事態を好転させるわけではなく、村民全員が英雄な勢いなのです。みんなの死を決した戦いが活路を開くんですね。 村民たちはバリバリ撃ち殺されながらも反撃するのだから、麻薬組織の理不尽さに素直に怒りながら見ることができます。で、正義の側もバリバリ死ぬので、キャラの立ってる奴らが今にも死にそうで怖いんですよ。そこらへんも緊張感を持続させるのに一役買ってたと思います。 そんな生と死のギリギリの境界線、緊張感の上で、「アスリートが戦う」というあまりにバカバカしい設定が、ムチャクチャな形で活かされてきます。都合よく平均台の形になってるものや、都合よく鉄棒の形になってるものを利用して体操選手が戦ったりするのですが、そのムチャクチャなご都合主義展開が、先程までのギリギリの緊張感と鮮明な対比をなし、とても清清しい笑いを与えてくれます。要するに、すごくドキドキして、ゲラゲラ笑って、またドキドキさせてくれるんです。いやー、これはすごい映画ですよ。エンターテイメント超大作です。 そうそう、中盤の火のついた棒で殴りあうシーンは興奮のあまりビクビクしたよ。バトルシーンに火の美しさ、火の恐ろしさを混ぜこんでおり、今までにない興奮を感じました。ちょっと下品な例えだけど、セックス中に性感帯を刺激された時の「あン!」っていうアレに近い。アレがガンガン来た感じ。スゴかった。 ただ、惜しむらくは、大活躍するキャラクター一人一人の掘り下げが甘く、主演の刑事キャラ以外はほとんど見分けがつかないところです。うん、でもまあ、いいんじゃね、そんくらい。そんな点ですら、あまり問題視できないほど、この作品は完成度が高いです。 GyaOのページ:http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0023392/ |