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スノーホワイト(映画)
★★★☆☆(1/1まで)

白雪姫の物語を、原作の元になった物語により近い形で映画化した作品。僕は原作を読んだことがないので、果たしてどれほど原作と異なるのかは分からない。いずれにしても、日本で広く知られている童話では一方的に悪者にされている継母が、苦悩から狂気へ駆り立てられるキャラクターとして命を吹き込まれている点が非常に印象的であった。

この作品で描かれる義母クラウディアは、所謂「悪い魔女」ではない。後妻であるが故に家族と全てを分かち合えない辛さ。自分を凌いで美しく育つ義理の娘リリーと、衰えゆく自らの容姿に対する苛立ち。そしてリリーと父親(彼女にとっては夫)との睦まじい関係に対する屈折した嫉妬。一人で森々たる孤城に嫁いできた彼女にとってはどれも切実であったろう苦しみが重なり合い、最終的に我が子を流産したことで狂気に駆り立てられる。城にやって来たばかりの頃のクラウディアがリリーにみせた優しさが、あまりに可憐であったために、ますます切なさが募る。クラウディアが内に秘めた哀しみがイマイチ描き切れていないのが悔やまれるが、それでも勧善懲悪の物語よりはずっと人間味のある作品に仕上がっていると言えるだろう。

この作品のいま一つの見所は、明るいシーンの美しさである。普通、この手のホラーは暗いシーンの美しさが見所であることが多いが、この作品はむしろ明るいシーンの哀しげな美しさが際立っている。色づいた落ち葉が積もる森に明るい木漏れ日が差し込み、一面が暖色に彩られているようなシーンでも、白く寒々しい美しさの中に見事に恐怖が息づいている。ゴシック・ホラー(と、呼んで良いと思うのだが)にしては珍しく、明るいシーンの美しさが印象に残る作品だった。

さて、こうして、描かれるキャラクターも映像もかなり僕好みであったのだが、作品自体の評価はどうしても低く止めざるを得なかった。その最大の理由は、この作品の物語の骨格が、陳腐なラブ・ストーリーだったからだ。ラブ・ストーリーであること自体に文句があるわけではない。ゴシック・ホラーにラブ・ストーリはつきものだし、多くの場合はそれが美しさを際立たせる。しかしこの作品のラブ・ストーリーは、モンスター・パニックものでよく見るような三文恋愛劇なのだ。説得力の欠片もなく心変わりするヒロイン。大切な仲間の死を顧みる様子もなくクライマックスで結ばれる主人公二人。これでサメかアナコンダか大ダコでも出てくれば、完全にモンスター・パニックのセオリー通りといったところだ。この安っぽいラブ・ストーリーが、映像の美しさやキャラクター設定の深さを全て台無しにしてしまっている。これが元になった物語のせいなのか、演出上の問題なのかは分からないが、見るべき所も多い作品だけに、陳腐なラブ・ストーリーに終始してしまったことが実に悔やまれる。


DVD:「スノーホワイト」
書籍:「白雪姫 国際版ディズニーおはなし絵本館」 / 「本当は恐ろしいグリム童話」
| thinkingreed | 映画 | 02:42 | comments(0) | trackbacks(0) |









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